山の頂きに凛として立ち並ぶまっすぐな幹、北山杉・・・。緑が映え、霧が木々の間を流れ、北山時雨が木立を覆い粉雪が舞い降りる山の作業は春の苗木植えに始まり、夏の枝打ち、秋の伐採、冬の丸太磨き・・・。多大なる労力を惜しまず様々な人の手をかけて送り出される北山杉は、六百年にわたり育てられ、茶室をはじめ桂離宮、修学院離宮、島原角屋などに使われております。
私どもは、初代より百三十余年、苗木を選び山を選び季節選びながら、一本一本愛情を込め、天皇陛下皇太子殿下御高覧、農林大臣賞を始めとする栄誉を授かり、風格ある北山丸太を送り出しております。
先人たちが培ってきた木の文化、脈打つ伝統を受け継ぎ、これから先どんなに時代が移ろうと、決して変わることのない木が持つ独特の、心に響く心地よさと温もりを皆様に伝えてまいりたいと思っております。
北山丸太を採った残りの部分(先の方)は、通常<もやき>と言い山で焼いて灰にして、土壌を中性にする肥料にします。又、葉の部分を取り除くことにより建築現場の足場丸太やチップとして利用されます。山から切り出した木は主に人工乾燥ですが、昔ながらの天日干しも行っております。天日干しは、太陽の紫外線が丸太により深い光沢を与えます。先人より受け継ぐ<本仕込み>を行う事により伝統技術を継承し、又その作業で剥いた杉皮は資源の再利用として壁面材料等に利用されます。太陽光を利用し、石油資源の使用を最小限に抑えています。山林内での作業は火の使用を最低限にし、下草刈、枝打ち、間伐をすることにより木を健全に育てます。
また一つの取り組みとして、年数回各種団体の方々を受け入れ、実際に山で挿し木、草刈を行うなどしながら<治水治山>の話をしています。少しでも森の重要性を肌で感じてもらえる事が私たちの願いなのです。